社会福祉法人 札幌緑花会

札幌地区 緑ヶ丘療育園

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第23回 新しいてんかん発作型分類とてんかん分類の紹介(2)

2019-10-17

 前回の第22回てんかんミニ知識では2017年の新しいてんかんの発作型分類について紹介いたしましたので、今回は2017年の新しいてんかん分類として、てんかん病型(てんかん類型)、てんかん症候群、病因について紹介いたします。

 新しいてんかん病型は焦点起始発作を有する「焦点てんかん」、全般起始発作を有する「全般てんかん」、焦点起始発作と全般起始発作の両者を有する「全般焦点合併てんかん」、病型が焦点か全般か判断できない場合の「病型不明てんかん」の4種類となりました。

 てんかん症候群とは、特徴的な臨床像と脳波、画像所見などによって特徴づけられる疾患群であり、年齢依存性、発作の誘因、日内変動、予後、知的・精神的障害などの併存症もしばしば共通します。てんかん症候群が診断されることは病因、予後、治療法などが想定されることになるため重要です。小児欠神てんかん、West症候群、Dravet症候群などよく知られている症候群が数多く存在します。

 近年多くのてんかんに関与する遺伝子が発見されてきたため、今までよく使われてきた特発性全般てんかんの特発性という用語は不正確で、素因性と呼ぶべきであるとされましたが、小児欠神てんかん、若年欠神てんかん、若年ミオクロニーてんかん、全般強直間代発作のみを示すてんかんの4つのてんかん症候群に限っては今までどおり「特発性全般てんかん」という用語を用いてよいことになりました。しかし、個別の症例において担当医が素因性病因を想起することに違和感がない場合には「素因性全般てんかん」を用いてもよいとされています。

 また、従来の特発性部分てんかんとされた中心・側頭部に棘波を示す良性てんかん、Panayiotopoulos症候群などは「自然終息性焦点性てんかん」と呼ぶことになりました。

 次に、てんかんの病因が、「構造的」、「素因的」、「感染性」、「代謝性」、「免疫性」、「病因不明」の6つに分類されました。構造的病因はてんかん外科にとって重要であり、素因性病因は遺伝カウンセリングや結節性硬化症に対するmTOR阻害剤などの検討に重要となります。ただし、複数の病因が関わることもあり、てんかん症候群と病因は一対一対応でない場合があることに注意が必要です。

 さらに、多くのてんかんは学習障害、精神障害、行動障害などの併存症を伴うことがあるので、すべてのてんかん患者において併存症の存在を考慮することが重要とされています。

てんかん外来  皆川 公夫